「個人売りはどんな仕組みになっているの?」
「個人売りにはルールはあるの?」
今回は、そんな疑問に答えていきます。
個人売りに関して、これからアパレル店員になろうとしている若者、今アパレル店員として頑張っている若者、それぞれの悩みや疑問があるはずです。今回はそれらに答えられるだけ答えていきます。
わたし、一応アパレル歴は13年ほどありまして、店長とSVを経験していますので、多少は信用性のある情報を提供できると思います。
なので、ぜひ参考にしてください。
個人売りの仕組みやルールを知りたい!
「――個人売りの仕組みやルールを知りたい!どこで計算してるの?」
まず、お客様に最初に声がけして、一通りの手順(声掛、提案、フィッティング対応、レジへのエスコート)でお客様が購入したらあなたの売上になります。これ基本です。
でも、他の誰かさんが接客していて、レジだけあなたの場合はその誰かさんの売上になります。これ基本です。
要は、声掛け~購入決定までを担当すれば、それはあなたの個人売りになります。
これが基本的な個人売りの仕組みでありルールです。
「――なら、だれも接客してなかったお客様がレジにきた場合はどうなるの?」
この場合は店舗によってのルールが4通りに分かれます。
- たまたまレジにいた人の個人売りになる
- だれの売上にもならない(店舗の売上だけになる)
- その日、個人売りの悪い人に振り分ける
- 店長の個人売りになる
わたしの経験上、.2か.4が多かったですね。これだとみんな平等になりますし、不平不満もでないですから。
.1はほとんどありません。これだとレジの近くでしか接客しない人が出てくるので。
「――個人売りはどこで計算されてるの?」
計算方法は2通りあります。
- レジで計算
- タグで計算
レジには、個人に当てられたキーがあり、それを最初に入力することによって個人売りを計算、管理しています。中にはコンビニ店員のように自分の名札のバーコードを読み込んだあと、商品のバーコードを読み込んで管理するレジもあります。
レジで管理してない店舗は、タグを使います。
バーコードがあるタグの下半分を切って、その切った空いているスペースに「スズキ」と名前を書いておきます。
閉店後、そのタグを集計して個人売りを計算、管理していきます。
でも、おそらくこの集計方法をしている店舗はほとんど無いですね。あったら化石です。大事にしておきましょう。
個人売りはなぜあるの?
「――個人売りはなぜあるの?どんな意味があるの?」
個人売りがある一番の理由は、店舗の予算達成のためです。
そして、店舗の予算達成のために、個人の能力を底上げする必要があります。
なので、個人売りがあるんですね。
個人の能力を上げてることによって、人件費削減にもなりますし、リピーターや顧客を作ることによって、競合店との比較でも優位に立つことができます。
会社側も個人の実勢や成果を数字で確認することによって、その人への正しい評価ができるようになるので、一石二鳥なんです。
さらに、個人売りがあることによって、数字を常に意識するクセがつき、一つ一つの行動に意味を持たせようとします。
そして、「自分のマイナス部分をどう改善するにはどうすればいいのか?」という自己分析力も身につくので、仕事に対する姿勢も良くなってきます。
個人売りが悪かったらペナルティはあるの?
「――個人売りが悪かったらペナルティとかあるの?減給されたりとか?」
個人売りが悪くても何らペナルティはありません。
でも、周囲からの視線は冷ややかです。あえて言うならそれがペナルティでしょうか。
減給やボーナスカットみたいなペナルティはありませんが、接客の仕方などの指導はあります。
個人売りが悪いのは接客の仕方に問題があるからです。
わたしも個人売りが悪かった時期がありました。
でも、当時の店長から接客のマナー、アプローチの仕方、商品の提案方法など、基本的なことを学んだら問題なく個人売りを達成することができるようになっていました。
内心では「――もっと早く指導してくれれば、こんな醜態を…」と思いましたが、自分で考えることを大切にしている店長だったのでしょうがなかったですね。
どんなことをペナルティと感じるかは人それぞれですが、とりあえず減給やボーナスカットなどはありません。
個人売りが良かったら報奨金(インセンティブ)はあるの?
「――個人売りの成績が良かったら報奨金やインセンティブがついたりするの?」
バイトや派遣は時給制なので個人売りが良くても報奨金(インセンティブ)はつきません。
正社員ならボーナスに反映されたり、決算時期に支給されたりします。
これはわたしの経験上でしかないので信用性に欠けるかもしれませんが、お金好きなわたしの当時のリサーチでは、他店舗でも同じような感じでした。
参考までにわたしがいた会社のインセンティブについてお話します。
まず、バイトは時給制なのでインセンティブは付きませんでした。
でも、成績がよければ3ヶ月後に正社員として採用されることは珍しくありませんでした。(ちなみにわたしは8ヶ月後に正社員になりました。あまり才能がなかったようです)
インセンティブは、ボーナスに反映されます。基本給1ヶ月分+インセンティブです。そして、決算時期にもインセンティブがもらえていました。なので、合計年間3回のインセンティブがもらえます。
インセンティブの額は秘密です。
(明細書見てガッカリしないくらい)
わたしは2社のアパレル会社にいたのですが、これは1社目のかなり個人売りが重視されていた会社の例です。
2社目は個人売りはありませんでしたが、店舗の予算を達成すると店長にはインセンティブがついていました。
個人売りと報奨金(インセンティブ)の関係は会社によって違うと思います。
ですが、基本バイトや派遣には報奨金やインセンティブはつかないと思っていいでしょう。
ついたらラッキーくらいの気持ちでいた方が楽だと思います。
個人売りがないショップってあるの?
「――個人売りがないショップってあるの?見分け方があれば教えてほしい!」
基本ファストファッションには個人売りは存在しません。
その理由は、一般的なブランドショップやセレクトショップは「質」で勝負、ファストファッションのショップは「量」で勝負しているからです。
例えるなら、「回らない寿司や」と「回転寿司や」ですね。
回転寿司は、回らない寿司やと比べると客単価は安いですが、その分回転率で補っています。
それと同じように、ファストファッションは接客がメインではなく、お客様の回転率を上げるために作業がメインになっているんです。
なので、ファストファッションのショップには個人売りは基本存在しません。
他にも、ファストファッションじゃなくても敷地面積が広かったり、スタッフの数が多いショップでは個人売りが設定されていないケースがあります。
個人売上の平均ってどのくらい?
「――個人売りの平均ってどのくらいになるの?」
まず、個人売りの目標基準は、店舗の予算目標から計算されます。
『店舗の予算÷販売員の数=一人頭の平均目標予算』
この計算を基準として、販売員の能力によって比率が変わってきます。
たとえば店舗の予算が1000万円だとすると、店長が400万円、ベテラン販売員が300万円、中堅が200万円、新人が100万円みたいな感じですね。
比率もショップによって変わってくるので一概には言えませんが、わたしの知る限り、他のショップでは能力に合わせた個人売りの目標を立てるようにしていました。
ちなみに、わたしが以前働いていたショップの個人売りでは、社員の時は月200万円前後、店長になると月300万円前後でした。この数字を見て多いか少ないかは人それぞれですが、わたし個人としてはなかなか辛いノルマでしたね。
月200万円だと、月24日出勤で、1日8万円ちょっと。当時働いていたショップの平均単価が9000円だったので1日に10組に売れば達成でしたが、平日は来客数が少ないので、土日でその分を取り合えすのが普通になっていました。
(今思うと我ならがら頑張っていたんだなと、ちょっぴり過去の自分を褒めたい気分です。今となってはそんな努力ができない影に隠れるような大人になってしまいました。ごめん母さん)
個人売りを伸ばしたい
「――個人売りをどうしても伸ばしたい!」っという人のために、明日から実践できて効果的な超基本接客術を少し紹介します。おそらくすぐに効果がでるので試してみてください。
- 笑顔でハキハキと
- 「よろしければ」を禁句にする
- 言葉の最後に「?」がくるようにする
- 相手の悩みを推測する
- お客様のせいにしない
一つづつ説明していきます。
1.自然な笑顔でハキハキと。
これは、自然な笑顔でハキハキしていればお客様から警戒されないからです。
お客様から避けられる原因は、「無表情による恐怖心」と「不自然な表情への不信感」です。
なので、どんなに疲れていても、どんなに二日酔いでも自然な笑顔でハキハキと声掛けしましょう。
2.「よろしければ」を禁句にする
「よろしければ」という言葉は、お客様に判断を委ねている表現の仕方です。
お客様は、判断を委ねられると必ずネガティブな方向へいってしまいます。なので、声掛けする時は必ず「ぜひ〇〇されてください」と言い切るようにしましょう。
お客様に「行動を委ねる」のではなく「行動を促す」ようにすると接客の質が変わってきます。
3.言葉の最後に「?」をつける
「何かご不明な点があればいつでもお声がけしてください」
「何かお悩みのようですが、ご不明な点がありましたか?」
これ、どっちが返事しやすいですか?もちろん後者ですよね。
最後に「?」をつける言い方をすることによって、相手の反応はかなり変わってきます。
その理由は、後者のほうが言葉のキャッチボールに向いているからです。
4.相手の悩みを推測する
販売員が一番意識する部分はここです。
お客様といのは、自分の悩みが解決できればお金に糸目はつけません。
それは洋服も一緒です。
たとえば…
- パンツコーナーでウロウロしている
- 細いパンツを手にとってすぐに置いた
- 値札(8000円)を見てすぐに置いた
よくある光景ですが、これだけでもお客様の悩みの推測はできますよね。
「このお客様はパンツを欲しがっているが、細いパンツではなくワイド系のパンツが欲しい。そして、8000円以下、おそらく5000円以下の商品を探している」
これだけでもかなりの情報です。
この情報を元に声掛けしたり、商品を提案すると意外なほど売れたりします。
最初は上手く推測できないかもしれませんが、1ヶ月間毎日お客様の推測をしていると不思議と精度は上がっていきます。
5.お客様のせいにしない
「イヤな顔をされた」「無視された」「声掛けしたらすぐに逃げられた」
これらすべてはお客様のせいではなく、あなたのせいです。
イヤな顔をされた=わたしの言動におかしなところがあったか、笑顔がなかったか
無視された=お門違いな声掛けをしていなかったか、もっと違うフレーズはなかったか
声掛けしたらすぐに逃げられた=声掛けのタイミングが遅くなかったか
お客様のせいにするのではなく、様々な角度から自分自身が反省できる部分を探してください。
そうすることでお客様への苦手意識が無くなっていきます。
少し長くなってしまいましたが、これらは接客の基本です。
この5つを意識するだけでも個人売りが良くなっていきますので、ぜひ試してください。
このブログでは他にも【もう戸惑わない】購入までの基本的な5つの販売プロセス|次の行動がわかるや販売員の『逃げない』声掛けフレーズ|シチュエーション別も参考にできます。
売上を横取りされる
「――ワタシが先に話かけたのに、スキがあればお客を横取りしてくるスタッフがいます。どうすればいい?」
シバきましょう。ウソです。
個人売りの横取りに関しては、かなりシビアな問題なので、店長、もしくは本部に報告するのが最良の手段です。
間違っても当事者同士で話し合ったり、店長抜きで話し合いの場を持つのは止めましょう。
横取りしたほうも、横取りされたほうも、頭に血が登りやすい状況になっているので、当事者同士の話し合いには無理があります。お金や評価が絡んでいる問題は特に。
最悪、さらなるトラブルの原因になります。
店長や会社もそういったトラブルは経験しているので、穏便に済ませる方法を知っていますし、会社側からすれば、どちらも辞めてほしくない人材のはずです。
なので、文句を言いたい気持ちはわかりますが、まずは店長や本部に相談してください。
個人売りの競争で職場の雰囲気が悪くなっている
「――個人売りの競争で職場の雰囲気が悪くなっています。こういうものなの?」
切磋琢磨するのは良いことです。
しかし、その影響が陰口だったり、仕事の邪魔をするようであれば、店長や本部に相談したほうがいいでしょう。
個人売りを設定するのは「店舗の予算をチームワークで達成する」という意味合いもあります。そのことを見失ってしまっている状態なので、店長や本部のお偉いさんに出てきてもらって、その意味を伝えてもらうことが一番の解決策です。
個人売りがストレスになって辞めたい
「――個人売りがストレスになっています。かなり辞めたいです」
あなたは個人売りの目標達成を経験したことがありますか?
もし、経験したことがないなら、一度経験するまで辞めないほうがいいです。
なぜなら、見た目だけで美味しい、美味しくないを判断している食わず嫌いと一緒だからです。
しかし、目標達成経験があるにも関わらず、ストレスで辞めたいと思うなら、辞めたほうがいいでしょう。
きっと、あなたの喜びは売上の目標達成ではないからです。
まとめ
これからアパレル店員として働こうか迷っているなら、最初は個人売りがあるショップを選ぶことをおすすめします。
その理由は、個人売りがあるショップから、個人売りが無いショップに転職するのは楽ですが、その逆になると大変だからです。
若いうちに個人売りを経験していれば、将来どういった仕事が自分に合っているか分析することもできますし、年齢的な部分でも転職しやすくなるからです。
逆に今アパレルで働いていて悩みがある人。もしそれがお金や休みなら続けた方がいいでしょう。
その理由は、転職理由にお金や休みはご法度だからです。
7割失敗します。
なので、もし転職するなら必ず専門性のある仕事についてください。